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こんな男に気をつけろ

悲しい身の上話をする男

 身の上話は口説き文句とぜんぜん違う…と思うかもしれません。
でも、それでバタバタと口説き落としている男もいるのです。

 そういう男は、だいたい「不幸な身の上話」を持っています。

たとえば

 「自分は母子家庭で育った。母はこんなひどい人で…」
とか、
 「自分の父は暴力男だった。その暴力から母を守るため、自分は…」
とか…

身の上ばかりではありません。
「悲しい事件」の話も上手です。

 「友達を救うためにヤクザと喧嘩して大切な就職試験に落ちてしまった」
とかいう類です。

 「その頃、競輪選手だったんだ。
  将来の夢もあったし、そのための才能も努力もあったと思う。
    あるレースで、バンクの最上段からストレートを目指して下ったとき
       他の選手と接触して落車。 両膝を複雑骨折したんだ。
    その時の痛みをもういちど経験しろ、と言われたら、間違いなく死を選ぶよ…」

 このエピソードは、ある男が、本当に使っていましたねぇ。 

 
 本当に上手な男は、相手の女性の生い立ちなどの情報を聞き出しておき
その彼女の心にヒットするような「身の上話」とか「悲しい事件」の話をします。


 「嫌われ松子の一生」という映画で
主人公の松子が同棲中のヒモである小野寺を殺してしまいます。
その殺害にいたる直前に

 「だって、あんた○○生まれって言ったじゃない」(○○は地名です、忘れました)
 「ウソに決まってるじゃねぇか!」
 「○○生まれっていうから信じたのに」

 というような内容の会話があります。
ヒモの小野寺は、松子の心にヒットするような「身の上」をでっちあげていたわけです。

 それで心を許してしまう松子にも「弱み」があるわけですが
ヒモの小野寺はどこにでもいます。
気をつけるにこしたことはありません。

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