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独断書評byMikan

わたしを離さないで

【わたしを離さないで】-カズオ イシグロ

※人の心が知りたいとき…?? ★★★×2

 カズオ・イシグロは、5歳で英国に渡った日本人です。
小説は英語で書かれ、イギリスをはじめ、世界的に評価をうけています。
単純ですが、まずわたしは、そういう作家自身のストーリーに惹かれました。

 主人公はキャシーという優秀な介護人です。
彼女はヘールシャムという施設で育てられられます。
前半は、その施設の中でのできごとや人間関係が
とても丁寧に描かれます。

 子供同士のつまらない諍いや争い。
 ささやかないじめや立ち直り。
 宝物をなくしてしまったり見つけたり。

 そういった日常のできごとを通じ、子供たちが
心を通わせ、あるいは離れる瞬間が、細やかな織物のように語られます。

 そうした一見穏やかに見える情景が、実はとても異常な
圧力下での光景であることがやがて明らかになり
普通の光景なのに、それが、とても切なく心に迫ります。

 後半、大人になったキャシーは、恋や愛も経験します。
でも、それも運命からは逃れられない愛だったのかもしれません。

 世界中の忘れ物が吹き寄せられるという「ロストコーナー」。
その街へ、子供の頃の仲良しグループはドライブへでかけます。

 林の向こうにある湿地帯。
そこにたたずむ廃船へむかう、大人たちのささやかな冒険。

 いくつものエピソードが降り積もるように重なり
エンディングへむかいます。

 目から、涙はでませんでした。
でも、途中からずっと、心の中で泣きながら読んでいたような気がします。
こうして書くと、とても重たく暗い物語のようですが
私の場合、読後感はとてもよかったです。
「いい小説に出会えた」という満足感がありました。

 ひとことで言えば「名作」だと思います。


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